開いた触手の直径が 1cm未満の小さな種で、潮間帯を含めた磯の浅海に見られますが、小さいために目立ちません。イソギンチャク類の下端はコップの底のように円盤状になっていて、そこを足盤と呼びます。足盤の内側には放射状に走る筋肉の筋があり、これを使ってにじるように歩くことができます。チギレイソギンチャクは歩いている時に、足盤の縁が小さくちぎれて後に残り、それがやがて成長して一匹のイソギンチャクになります。このイソギンチャクは歩く度に、非常に多くの小片を残すので、非常な勢いでふえる能力を持っています。野外ではこの柔らかいイソギンチャクは小魚や他の無脊椎動物の餌になってしまって、思うようには増殖できませんが、チギレイソギンチャクが水槽などに1匹でも侵入したら、これを食う敵がいないので、あっという間に水槽中がこの小さなイソギンチャクで覆われてしまうことも稀ではありません。