ソメンヤドカリやサメハダヤドカリの入った貝殻の上に付いています。当地の浅海では、ソメンヤドカリとの共生が普通です。ヤドカリは貝殻にイソギンチャクを付けることにより、敵から身を守ります。ヤドカリ類は敵に襲われると、貝殻の中に逃げ込み、貝殻の入り口をハサミ脚でふさぎ、敵の攻撃を防ぎます。ところがイシダイやタコ類はヤドカリが大好物で、貝殻に逃げ込んだヤドカリを平気で襲って食べてしまいます。ところが貝殻の上にイソギンチャクが付いていると、その刺胞にさされるので、襲うことができません。一方、ヤドカリは私達のようなほおばる形の口を持っていず、えさは口の中に流し込まれる仕組みになっています。そこで、ヤドカリが食事を始めると、両方のハサミ脚でほぐした餌が口の方へ運ばれて、運良く口の中に進んだもの以外はヤドカリの周りに舞い上がります。そうすると、貝殻のイソギンチャクは触手をいっぱいに広げ、この舞い上がった餌のカケラをとらえるのです。ベニヒモイソギンチャクの体を押してやると、体壁の下方にある小さな孔からピンク色の糸がたくさん出てきます。これは槍糸と呼ばれる防御用の器官で、その色からベニヒモイソギンチャクの名があります。串本の浅海では、ソメンヤドカリは非常に多いヤドカリの一つですが、夜行性のため、昼間のダイビングでは観察できるチャンスは多くありません。この写真はサメハダヤドカリです。