山地に広く自生する落葉高木で、高さは15~25m、直径50~60cmに達し、竹ぼうきを逆さに立てたような樹形になる。葉は長い枝には互生するが、短い枝には束になってつく。葉はだ円形で長さ8~12cm、幅3~5cm、若い葉のときを除いて無毛。葉柄は約2cmで赤く、上部に2個の腺体がある。小枝も赤褐色で無毛、樹皮は紫褐色で光沢がある。紀南地方には3月頃葉が展開する前にうすいピンクの花を咲かせるヤマザクラと、4月頃葉の展開と同時に白い花を咲かせる2つの系統のヤマザクラが自生している。材は赤褐色をして緻密で堅く、建築材、器具材、楽器材に用いられる他、古くから版画用の版木に使われてきた。