ビクイソメ科は触手のない頭部を持ち、ギボシイソメ科やセグロイソメ科に似ますが、これらの区別は基本的には口部内部の顎の構造によっています。しかし外見上ビクイソメ科は他2科とは、各体節の疣足のすぐ上に短く太いヒゲを持つことによって、容易に区別できます。串本近海ではビクイソメ科の目立つほどの大きさの種は、ヒメアカムシのみです。ヒメアカムシは潮間帯を含む岩礁の浅海の岩の割れ目やすきまで見つかります。体の色は黄色のものから濃いオレンジの赤っぽいものまで見られます。頭の後縁付近に四つの眼点が並びます。大量の無色透明の粘液を分泌し、この粘液は時間経過と共に紫色に変色します。