縄文時代前期、この辺りは海水面が高く、宇久井半島は島でした。その後浅い海岸に砂礫が堆積し、海面が低下した結果、砂州となって陸地とつながり、現在の半島が形成されました。
このような地形を「陸けい島」といい、和歌山県レッドデータブックにおいても宇久井半島は貴重な陸けい島として取り上げられています。
海面近くには、陸地が浸食されたり堆積物が積もったりして平らな土地がつくられます。
その後、およそ10万年の間に海面下降と土地の隆起があり、上が平坦で端が急な崖の土地が取り残され丘となりました。このような地形を「海成段丘(かいせいだんきゅう)」といい、宇久井半島が典型的な例で、熊野市から御坊(ごぼう)市にかけての海岸に多く見ることができます。
宇久井半島の岩は1400万年前の火山活動の際、溶岩が冷却固結してできた岩です。海岸部では色の明るい酸性火成岩が見られ、これは熊野地方に広く見られる火成岩で、紀州御影(きしゅうみかげ)の名で庭石などに用いられています。この酸性火成岩は花こう岩に近い岩石で、花こう斑岩といいます。
熊野灘に面した海岸では、岩石の礫が見られます。
これはオーソコーツァイトの礫で、宇久井半島の地玉の浜で手軽に観察することができます。