串本海域公園周辺の浅海で普通に見られる大
型のウニには、シラヒゲウニとラッパウニの2種が
あります。シラヒゲウニは串本では食用となり、お
寿司屋さんのネタとしても出てきます。一方ラッパ
ウニには、先がラッパ状に開くトゲがあり、毒をもっ
ているので、大きくても食用にはなりません。
ラッパウニを沢山見てゆきますと、時々トゲの一
帯がきれいに刈り取られたウニが見つかり、その
上下に刈り取られた帯のところに一匹のカニがいます。ゼブラガニです。白と濃い紫のタテジマがシマウマに似て
いるので、このように名付けられています。ゼブラガニはラッパウニのトゲを上から下まで一定の幅で刈り取っ
て、それを食べて、刈り取った後の禿げた部分にすんでいるカニなのです。このカニがラッパウニのトゲを餌にし
ているなら、刈り取った帯の幅は時間とともに広くなっていくはずですが、どのウニも禿げた帯は一本しかあり
ませんし、その帯の幅はゼブラガニが横になったときの長さ、すなわちカニの甲らの長さにほぼ等しく、禿げた
帯の幅はほとんど一定しています。ですから、ゼブラガニは一匹のラッパウニにとりついて、トゲを食べ続け、上
下に一本の禿げ帯を作った後はそのウニを離れて、新たなウニにとりつくのかもしれません。そうすると、以前に
食われたウニも被害がそう甚大ではないので、やがて食害された部分のトゲが再生するものと思われます。この
ような関係が本当なら、両者の関係は寄生になります。