海中の崖のようなところには、大きな扇のように
なるオオイソバナという赤いヤギの一種が一杯に
枝を広げています。そのような所は潮流があり、そ
れで運ばれてくるプランクトンを効率よく捕らえよう
と、オオイソバナは潮流に直角に枝を広げます。
体は赤いのですが、その枝上に無数にある小さ
なポリプは淡黄色をしています。オオイソバナは
淡黄色のポリプを一杯に開いて餌のプランクトン
を捕らえます。しかしある時、ポリプが並んだ枝が動いたように見えたことがありました。ヤギ類の枝が運動する
なんてことはありません。それはオオイソバナの枝の間に共生するイソバナガニという甲らの幅が1㎝ほどのカ
ニだったのです。このイソバナガニはイソバナにあまりによく似ているため、海中で見つけることは大変困難で
す。このカニの脚の模様を見てください、まるでオオイソバナの枝とそっくりで、ポリプまでもっています。どうして
こんなにまで似なければならないのでしょう。神の摂理を感じさせるカニです。