ツノサンゴの仲間はヤギ類に似ていますが、触
手が6本しかなく、しかも触手に羽状突起がないの
で、ポリプを見ればすぐに区別が付きます。ハワイ
名物の宝石黒珊瑚はこの仲間の中で骨の太くて
固い種の骨軸をみがいたものです。串本海域公
園およびその周辺にも多種のツノサンゴの仲間が
見られますが、骨軸が宝石になるほど太くて硬い
骨をもつものはいません。
串本海域公園周辺で最も普通に見られる黒珊瑚の仲間の一つにムチカラマツという太い針金のような種があり
ます。このサンゴに時として共生しているのが、キミシグレカクレエビという体長1㎝ほどの小エビです。無色透
明の体と、ムチカラマツのポリプの間隔に合わせたような淡黄色の縞模様で、うまく自分の存在を分からなくし
ています。この小エビはムチカラマツの粘液をなめて暮らしているようです。この場合はゲストはホストにほとん
ど迷惑をかけていないと思われますので、偏利共生の関係にあると思われます。