オオナガレハナサンゴ

オオナガレハナサンゴの写真

幅が3~5cmの壁状の骨格が曲がりくねって立ち上がり、全体としては30~
50cmの半球体を作ります。生きているときはイソギンチャクのような触手をいっ
ぱい伸ばしていますが、手で触ると触手が引っ込み、骨格の形がわかります。
このサンゴは沖縄地方ではまだ見つかっておらず、串本以外では九州や四国な
ど、数カ所でしか確認されていません。潮岬西岸の「アンドの鼻」という場所では、
この珍しいサンゴが狭い範囲に数十個生息しています。
サンゴの権威ベロン博士の調査では、サンゴの種類は八重山諸島で363種、
奄美諸島220種、土佐清水127種、串本95種、そして東京湾(館山)で25種が
記録され、北上するにつれて数が少なくなっています。これは、串本をはじめ北限
のサンゴの供給源が南のサンゴ礁域にあり、北上するにつれて供給が弱められ
ると考えられています。
しかし、このオオナガレハナサンゴをはじめ、ここで紹介したオオスリバチサンゴ、
ヤスリサンゴ、タバネサンゴ、エダミドリイシ、キクメイシモドキ、シコロサンゴ、ハナ
ガタサンゴ、ウミバラ、カワラサンゴ、エンタクミドリイシ、キッカサンゴ、イボサンゴ
など串本では普通に見られるサンゴがサンゴ礁の本場沖縄地方では探すのに苦
労をするほど数が少ないのです。これは沖縄のサンゴ礁が近年オニヒトデ食害や
赤土汚染、あるいは高水温による白化によって減少したからではありません。それ
以前からこのような傾向が見られました。串本をはじめ北限で生息する造礁サンゴ
たちは、黒潮の吹き溜まり的なものではなく、沖縄のものとは違った独自のサンゴ
群集としてしっかりと存在しているのです。

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